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VIPインタビュー

目指すは「床ずれゼロ」。お年寄りを気遣う気持ちがなければ、この仕事をすることはできません。

สัมภาษณ์กับนักธุรกิจวีไอพี

今回のVIPインタビューは、バンコク病院のDr.レヌー・ウボン女史です。レヌー先生が、高齢者の為の介護施設を始められたと聞き、ずっとお話を伺いたいと思っていました。今回やっとその願いが叶いました。


略歴
Dr. レヌー・ウボン女史
バンコク病院日本人専用クリニック(JMS)所長兼担当医師
エルケア ナーシング ホーム 代表
日本に留学して、京都大学で学び、医師免許を取得。帰国してから、日本語の語学力と医師としての能力を最大限に活かして、バンコク病院で献身的に患者さんを診察している。

この施設(Elderly Care Nursing Home)を始められて、どのくらい経ちましたか。

約10年経ちました。

この施設を始められたきっかけは何でしょうか。

バンコク病院で何人かの高齢の患者さんの面倒をみていたところ、患者さんの中で退院しても家族がいないので行き場がないとか、仕事でタイに来ていた日本人が退院した後、日本に帰っても身寄りがいないのでどうしよう、等という相談を受けました。そこで、退院した後の世話をする場所の必要性を感じたので、タイ国内で受け入れられる場所がないかと探している間に、自分でやってみようと思ったのが始まりです。

この場所に決めたのはなぜですか。

Dr.レヌー・ウボン女史と住田千鶴子ここは元病院でした。しかし病院の持ち主が亡くなった後、跡を継ぐ人がいなくて空いたままになっていました。そこでこの病院の施設を活かして、少し改装をすれば、介護施設をやることが出来ると考え、友人たちにも協力(資本を提供)してもらって、はじめたのです。タイ国ではまだ介護施設は誰もやっていませんでした。ですから、こういう小さい所(30床<入院者数>)で出来る範囲内で始めて、やって行くことで、やりながら介護のことや看護のことを勉強することにしました。そしてそのやり方が段々分かってきて、管理していく上でどのような問題があるのかが理解できるようになりました。

今はどういう状況ですか。

ここはそれほど大きくはない施設で、収容出来るのは30名までです。現在は20名くらいの患者さんが出入りしています。大体こういう施設に入る高齢者は、一度入ったら、長く居る人がほとんどで、長期滞在です。また、家族が外国に旅行に行くとか、母親と2人で住んでいる人の場合、地方に行っている間の面倒を看て欲しい、などといった理由で入所する人もいます。1~2週間とか、そういう単位の人もいます。

何歳くらいの方が多いですか。

平均年齢は70から80歳です。

男性と女性とでは、どちらが多いですか。

女性の方が多いです。そして、男性の方が重症です。ほとんど動けない、寝たきり状態の方が多いです。

看護師と介護士は何人いますか。

この施設には、看護師が必ずひとり24時間常勤しています。介護士は12名です。午前中から日中にかけて5名、夜間が4名の2交代制でお世話をしています。ここに居る患者さんの状態は、寝たきりに近い状態ですから、人数が多い方が助かります。また、この施設の自慢は床ずれを治すところです。ですから全員が床ずれゼロの状態です。今、床ずれのある患者さんは、他所から入所して来た人たちです。

私の知人で、病院に長く入院していて、見舞いに行った時はひどい床ずれで、見た目は無いように見えても、中の方がひどくなっている。気を付けないと見過ごしてしまいます。そのことはここの介護士は知っていますか。

もちろん知っていますよ。床ずれの症状が出てから、患者の身体を動かすのでは遅いのです。最初から2時間おきに身体の向きを返えなくてはならない、この作業が一番大変です。それでもここでは「床ずれゼロ」を目指して介護をする。ですから介護士たちは、おじいさんやおばあさんを気遣う気持ちがなければ、この仕事をすることは出来ません。

床ずれのことをタイ語では何と言いますか。また、完治するのにどのくらいかかりますか。

床ずれの防止には清潔が第一プレーゴトタップ<แผลกดทับ>です。大きな床ずれがあると、完治するのに2年はかかります。床ずれは外科のカテゴリーに入り、外科的治療を必要としますが、手術で簡単に治るものではありません。とにかく看護師と介護士で毎日、患部の消毒をする。定期的に患者の身体を動かす。そして排便・排尿の後は必ずすぐに清潔にする。この3点につきます。中でも消毒には力を入れています。そうしないと汚れた患部から膿んでしまうからです。汚れた患部を清潔にする為には、十分な水を使って消毒することが必要不可欠です。患部に十分な水があたるように作られた器具も販売されていますが、ここの看護師や介護士は自分たちで工夫をして、ペットボトルのふたにストローを取り付けた、患部に水がよくあたるようにしたものを作って患部の消毒の時に使っています。(※写真①参照)ここではスタッフたちがアイデアを出し合い、お金をかけずに、必要な器具を自分たちで作っているのです。

他に苦労されたことや、工夫されたことはありますか。

袋で菌の侵入を防ぎつつ、手を自由に動かすことができる。介護の質を高める現場の知恵とアイデアいろいろありましたが、私がこの施設を始めて苦労したことの1つに、「疥癬(カイセン)」がありました。タイではScabies(スカンジナビアとベービーを合成した言葉)と言いますが、簡単に言うとカビの様な菌が手足の皮膚に繁殖して、痒くなる症状が出る、やっかいな伝染病です。これが看護師・介護士を含め、入所者全員がかかってしまい、大変でした。結局1人の患者さんの手が硬直して握ったままの状態だったため、その中に菌が繁殖していたことがわかり、その患者さんの手を徹底的に消毒して数週間で退治したことがありました。

袋で菌の侵入を防ぎつつ、手を自由に動かすことができる。介護の質を高める現場の知恵とアイデアそんな事があって、患者さんの「手」に注目するようになりました。患者さんの中には、枕元の札を外したり、身体に付けている管を外したりする人がいるので、「手」を保護するための工夫をしています。(※写真②③参照)この写真にあるのは、点滴の際に使用した点滴液の入っていたビニールの袋を、スタッフが毛糸の手編みで患者さんの手首があたる所が痛くないようにして、患者さんの手に手袋のように付けています。このビニールの袋を使う事で、患者さんは袋の中で指を自由に動かすことが出来、快適ですし、菌が溜まることもありません。これもスタッフが考えてくれたアイデアです。ここで働いているスタッフは本当に良いアイデアを出してくれます。ですから、患者さんの家族の多くが、お見舞いに来られた時に驚かれ、感謝されます。

ここを始めたのは、先生とあと何人の方が関わったのですか。

全部で20名、そのほとんどがバンコク病院の医師たちです。20名で10年前からこの介護施設を始めて、様々なことを学びました。そしてある程度分かった現在、新たな介護施設を建設中です。

すごいですね。

その新しい介護施設の場所は、ラマ9世通りとシーナカリン路の交差点、高速道路に向かって左手にあります。これが私たちの2つ目の介護施設になります。最初のこの施設は資本金が少なかったので建物を借りました。2つ目の施設は、建物を借りずに、自分たちでお金を投じて施設を作ることにしました。規模は60床です。現在、建物は建設中で、今年の5月に完成予定です。(※写真④参照)

レヌー先生はそれでなくても大変お忙しいのに、さらにこうした活動をされる動機は何でしょうか。

患者さんと、その家族のためです。介護している家族の日常生活は大変です。私は少しでもその方々のお役に立てればと思っています。それから、タイの介護士たちにもっと経験と知識を与えたい、教科書だけでは学べないものを知ってもらいたい、という思いです。また同時に、自宅で親の面倒を看たいとご家族が希望されれば、ここへ来て学んで頂く事が出来ます。タイのような暑い国での介護は大変ですから、色々なコツをお教えしたいと思っています。

今後、このような施設は増えると思いますか。

袋で菌の侵入を防ぎつつ、手を自由に動かすことができる。介護の質を高める現場の知恵とアイデア増えると思います。なぜなら現在のタイ国は、日本以上に急ピッチに少子高齢化が進んでいるからです。また、以前のタイ人の考え方は、親の面倒は家族が看るのが当たり前、という考えでしたが、最近では変わってきています。大邸宅に大家族で住んでいるなら話しは別ですが、今は違います。核家族が増え、夫婦共働きが増えています。今後は、より多くの介護施設と、その患者さんのためのリハビリ施設、そしてその家族の方々の為のサポート施設が必要になって来ると思います。

レヌー先生の様な方がタイにいらっしゃるということは、とても心強く感じます。

私だけでは何も出来ません。皆さんが支えて下さっているからここまでやって来られたのです。これからも日本人の皆様にも出来る範囲で結構ですから、是非サポートして頂けたら嬉しく思います。



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