リアン・ムンム・チーウィット

Vol87中二病

「あの子、ぜったいチューニビョーですよ」と、ミミーちゃんが言った。えっ何なに?彼女の日本語が下手なのかと思い、何度も聞き返した。ところが、なんと「中二病」という日本語単語を私が知らなかっただけだった。どのような人を中二病と呼ぶのか。ミミーちゃんに教えを請う渡し。どっちが日本人なのやら、である。

Wikipediaによると、中二病とは1999年に生まれた言葉。なるほど。言い訳だが、私は1999年に日本を出たので、それ以降の新語を知らなくても仕方ないのだ。

一方、ミミーちゃんは、高校の時、日本の高知県に1年留学した。女子高生が流行語に敏感なのは当然。周囲の子からたっぷり"今どきの日本語"を吸収してきた。例えば「やばい」の用法。朝食後なのに更におにぎり2個も食べた友達について「やばいですよ」と言うので、「あの人、変」とけなしてるのかと思っていたら、近頃の「やばい」とは、肯定・否定問わず「すごい」の意味なのらしい。日本語難しいなあ。

また、「その発言はイタい」。恥ずかしい言動をしているのに本人が気づいていない状態を「イタい」という。私が日本にいた頃には使ったことがないから、新しい使い方だな、と聞いていたのだが、いやいや、古語辞典の「痛し」を引くとちゃんと3番に載っている。広辞苑にも「ふびんである」と訳してある。へえー、流行語ではなく、昔ながらの用法を若者(たぶん)が正しく復活させたわけなのか。これはやばいですなあ。

と、ミミーちゃんには私は色々"日本語の勉強"をさせてもらっているのだが、ご本人いわく、高知弁を身につけてタイに帰ってきてしまったため、大学の発音テストでしょっちゅう不合格になるそうだ。なんでも「イントネーションが違う」とか。高知の方言、可愛いのにね。

夏の海ふくらんでゆく滑走路

イーブン美奈子

いーぶん 美奈子
ライター・翻訳者。1999年より在タイ。タイ人の夫あり。
俳句結社「古志」同人。
第4回海外日系文芸祭で海外日系人協会理事賞(2007年、俳句部門)。
第9回同文芸祭で同賞(2012年、短歌部門)を受賞。競技かるた4段
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